「今日も記録が終わらない…」そんな声を、現場で毎日聞きます。
保育士や支援員にとって、記録は子ども理解のための大切な作業です。でも実際には、時間に追われて「とにかく書き終わらせる」ことが目的になってしまいがち。
この記事では、AIを使って記録の「下書き」を効率化する具体的な方法と、守秘義務・個人情報の観点からの注意点を、公認心理師の視点で解説します。
- AIで記録の下書きを作る具体的な手順(3ステップ)
- 個人情報・守秘義務を守りながらAIを使うルール
- AIに任せてはいけない部分とその理由
なぜ記録に時間がかかるのか
記録が大変な理由は、単に「量が多いから」だけではありません。以下のような複合的な要因が重なっています。
- 言語化の難しさ:子どもの行動や感情を「専門的な言葉」で書こうとするほど手が止まる
- 時間帯の問題:子どもが帰った後の疲れた状態で書かなければならない
- 完璧主義の罠:「うまく書けない」という感覚が記録を後回しにさせる
AIを活用することで、この「言語化の難しさ」と「完璧主義の罠」をまとめて解決できます。
AIで記録を書く具体的な手順
基本的な流れは次の3ステップです。
まず、名前・年齢・施設名などの個人情報を一切含めずに、その日に起きたことをメモします。
例:「午後の自由遊び中、友達とおもちゃの取り合いになり泣いた。声かけで落ち着いたが、その後は一人で遊んでいた。」
上記のメモをChatGPTなどに貼り付け、以下のような指示を出します。
「児童養護施設の支援員が書く日常記録として、専門的かつ簡潔に書き直してください。主語は『Aさん』にしてください。」
AIの出力はあくまで「下書き」です。実際の子どもの様子・感情・文脈に合っているか必ず確認し、自分の言葉で修正を加えてから記録として残します。
守秘義務・個人情報の守り方【必読】
AIに入力する文章に、氏名・生年月日・施設名・保護者名などの個人情報を含めないこと。これは守秘義務・個人情報保護法の観点から必須のルールです。
安全に使うための基本ルールはシンプルです。
| ✅ やってよいこと | ❌ やってはいけないこと |
|---|---|
| 行動・状況の「事実」をメモして渡す | 名前・年齢・施設名を含める |
| 「Aさん」「Bさん」などの仮名を使う | 写真・動画・音声データを使う |
| 出力を自分で確認・修正する | AIの出力をそのまま記録に使う |
AIに任せてはいけない部分
AIは「言葉を整える道具」であって、「子どもを理解する主体」ではありません。
記録において最も重要なのは、「あのとき、あの子はどんな気持ちだったか」という支援者自身の観察と感受性です。AIはその気づきの「言語化」を助けるもの。気づき自体はあなたにしか生み出せません。
特に以下の部分はAIに任せず、自分で考えることが大切です。
- 子どもの感情・内面の解釈
- 支援の方向性・判断
- 気になる変化や危機サインの評価
まとめ
AIで記録を効率化することは、子どもへの関わりをおろそかにすることではありません。むしろ、記録にかかる時間を減らして、子どもと向き合う時間を増やすための手段です。
- 個人情報をAIに入力しない
- AIの出力はあくまで下書き、必ず自分で確認する
- 気づきと解釈は自分の仕事、言語化はAIに任せる
このルールを守れば、記録の負担は大幅に減らせます。ぜひ明日の業務から試してみてください。

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